株主優待は、権利確定日に必要株数を保有していればもらえます。
しかし、権利が確定してすぐに送られるわけではないため、きちんと届くのか心配になる方もいるでしょう。
今回は、株主優待の到着時期について解説します。
優待品が届かない場合に確認すべきポイントや、届かない場合の対処法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
株主優待が届くまでの流れ
株主優待は、企業が自社の株主に対して配当とは別に自社製品やサービスなどの優待品を贈る制度です。
株主優待の権利を取得し、優待品が届くまでの流れを紹介します。
権利付最終日の大引けまでに株式を取得する
株主優待をもらうには、優待に必要な株数を、権利付最終日の大引けまでに購入しておく必要があります。
権利付最終日とは、株主の権利が得られる最終売買日のことで、権利確定日の2営業日前になります。
例えば、3月末が権利確定日の銘柄の場合は、下記のとおりです。
【権利確定日が3/31(木)の場合】権利付最終日:3/29(火)
【権利確定日が3/31(月)の場合】権利付最終日:3/27(木)
なお、12月末が権利確定日の銘柄については、証券取引所の年内最終営業日が権利確定日となり、権利付最終日はその2営業日になります。
優待取得のために購入した株式は、権利付最終日の大引け(当日の取引終了時間)まで保有しておかなければなりません。
事前に株式を取得していても、権利付最終日に売却すると株主の権利は得られないため、注意しましょう。権利付最終日の翌日(権利落ち日)には、売却しても構いません。
立会時間外のPTS取引(私設取引システム)の場合は、デイタイム・セッションの終了時間までに購入し、保有しておく必要があります。
ナイト・セッションの取引は翌営業日扱いとなるため、ナイト・セッションで購入しても株主の権利は取得できません。
一方、権利付最終日に保有していた株式をナイト・セッションで売却しても、権利確定後になるため、株主の権利は取得できています。
優待品や優待案内が送付される
権利付最終日に株式を保有していれば、証券会社に登録されている住所宛てに優待品や優待案内が送付されます。
ただし、企業によっては優待申込の手続きや優待品の選択が必要なケースがあります。
自宅に届く株式関連書類には、必ず目を通すようにしましょう。
株主優待が届く時期
株主優待は、権利確定後すぐに届くわけではありません。また、企業や優待品によって届く時期が異なります。
株主優待が届く時期を、具体的な銘柄例とともに紹介します。
権利確定日から2~3ヵ月後が一般的
株主優待が届くのは、一般的に権利確定日から2~3ヵ月後です。
申込が必要な場合には、議決権行使書や配当金計算書、事業報告書などの株式関連書類とともに案内が送られることが多くなっています。
以下は、優待発送の時期の例です。
銘柄 | 権利確定日 | 優待内容 | 優待発送時期 |
すかいらーくホールディングス (3197) |
6月末・12月末 | 自社グループレストラン利用券 | 6月分:9月中旬ごろ 12月分:3月中旬ごろ (配当金計算書に同封) |
ライオン (4912) |
12月末 | 自社製品詰め合わせ | 3月(申込不要、ゆうパックで発送) |
ゆうちょ銀行 (7182) |
3月末 | オリジナルカタログギフト | 6月下旬ごろ発送の「定時株主総会決議ご通知」にカタログ同封 |
発送までに時間がかかる株主優待もある
優待品によっては、発送までに時間がかかるケースもあります。以下は、権利確定から優待発送までの期間が空く例です。
銘柄 | 権利確定日 | 優待内容 | 優待発送時期 |
積水ハウス (1928) |
1月末 | 魚沼産コシヒカリ(新米) | 10~11月 |
正栄食品(8079) | 4月末・10月末 | 自社製品詰め合わせ | 2023年10月分:5月中旬
2024年4月分:11月中旬 |
米や果物などの農産物は、収穫時期に合わせて発送されるのが一般的です。
カタログギフトは到着日指定に対応していることが多くなっていますが、農産物については発送時期が指定されることがあります。
このほか、権利確定日後が物流の繁忙期にかかることから、優待発送時期を後ろ倒しにしている例もあります。
発送時期は企業のIR情報や優待案内に記載されているので、確認しておきましょう。
郵便事情や送付体制にも左右される
株主優待は、郵便や物流の事情、送付体制によって届く時期が変わることもあります。
優待品の発送は全株主に一斉の企業もあれば、順次とする企業もあります。
順次発送の場合には、すべての発送を終えるまでに時間がかかることもあるようです。
申し込みが必要な優待品は、案内直後など申し込みが集中した場合に、処理に遅れが生じることがあります。
また、年末年始やお盆、ゴールデンウィークなどの休日を挟む場合、優待品の手配に通常よりも時間を要する可能性もあるでしょう。
このほか、気候や事故、災害などの影響で遅れが生じるケースも考えられます。
株主優待が届かないときに確認すべきポイント
株主優待を取得したのに届かない場合、本当に優待が届くのか不安になるでしょう。
届かない場合に確認が必要なポイントを紹介します。
株主優待の条件を満たしていたか
株主優待が届かない原因として、そもそも優待の対象となる条件を満たしていない可能性があります。
よくあるケースとして、以下が挙げられます。
【権利取得に必要な株数を取得していなかった】
株主優待の対象は500株以上なのに、100株しか取得していなかったなど、株数が不足していた場合、優待の権利は得られません。
【継続保有期間を満たしていなかった】
半年以上、1年以上といった継続保有期間の要件がある場合も、満たしていなければ優待をもらう権利はありません。
継続保有期間の判定は、株主番号で行います。
権利付最終日以前にすべて売却して再度買戻した場合や、証券会社の貸株サービスを利用した場合は、株主番号が変更になる可能性があり、保有期間がリセットされます。
【よく名前が似た企業と間違えて株式を購入していた】
ダイドーグループホールディングス(2590)とダイドーリミテッド(3205)、ヤマハ発動機(7272)とヤマハ(7951)など、似た企業名の株式を購入していたケースもあります。
【優待の進呈条件や権利確定日が変更になっていた】
今期より優待条件の変更や休止・廃止が行われていた、権利確定日が変更になっていたなどのケースもあります。
近年では、株主優待の進呈に、継続保有の条件が追加されることも増えています。
いま一度、株主優待の権利確定日や実施内容も確認しておきましょう。
なお、株主優待をはじめとした株主の権利は、信用買いでは取得できません。現物での保有が必要です。
信用買いでは、株式の保有者は証券会社となるため、得られるのは配当金に相当する「配当落調整金」のみとなっています。
企業の発送スケジュールはどうなっているか
株主優待が届かない場合、まだ優待の発送時期がきていない可能性もあります。
優待の発送スケジュールは権利確定日から2~3ヵ月後が一般的ですが、企業や優待品によっては、権利確定から発送まで、半年以上かかるケースもあります。
多くの場合、企業の株主優待ページに発送時期が記載されているので、確認してみましょう。
また、さまざまな事情により、予定していたスケジュールから遅れることもあります。
変更がある場合は、IRニュースや株式関係書類で告知されるのが一般的です。
現住所は正しく届け出ているか
株主優待や優待関係の書類は、権利確定日時点での取引証券会社に登録されている情報をもとに作成した、株主名簿に記載された住所宛てに発送されます。
そのため、現住所が証券会社に正しく届け出られていない場合、送付物が届かない可能性があります。
引越しなどで住所を変更した場合には、登録住所を更新しているか確認しましょう。
現住所が登録住所と異なった状態で権利日を迎えていた場合には、登録住所(旧住所)宛てに発送されている可能性があります。
優待が届かない場合には企業に問い合わせを
保有条件は確実に満たしており、優待が届くはずなのに届かない場合には、まず株式発行会社のIR宛てに、株主優待や優待案内が発送されているかを確認しましょう。
優待権利を取得できていて、発送時期を1週間程度過ぎていても届かない場合には、何らかのトラブルが考えられます。株主名義管理人となっている信託銀行の証券代行部に問い合わせましょう。
優待や優待案内が届かない主な原因には、以下が考えられます。
- 郵便・配送の事故(誤配、申込書の不着など)
- 住所変更があり旧住所に発送された
- 発送のタイミングで長期不在があり、送付元に返送された
なお、株主優待が不着となった場合の対応は、企業によって異なります。
- 一定期間内であれば申し出により再送
- 自動的に再送
住所変更や長期不在で優待が届かない場合には、再送されるのが一般的です。
ただし、再送期限が設けられているケースがほとんどとなっています。
届いていないことに早く気付いて対処するためにも、優待がいつ届くのかを把握しておくことが大切です。
株主優待を確実に受け取るために
株主優待を確実に受け取るためには、権利付最終日までに必要株数を購入することはもちろん、手続きが必要な場合は漏れなく対応することも重要です。
せっかく優待銘柄を購入したのに優待をもらい損ねることがないよう、次の点に注意しましょう。
企業からの送付物を見落とさない
サービス利用券や金券類の優待や優待案内は、企業から送付される株式関連書類に同封されているケースが多くあります。
企業によっては、優待品の取得に申し込みを必須としているので、送付物を見落とさないようにしましょう。
優待案内は同封されているだけでなく、招集通知や報告書類内などに記載されていることがあります。
優待とは別にクーポンなどが掲載されるケースもあるため、書類の内容にも必ず目を通すようにしてください。
なお、優待申請に必要な案内書類を紛失した場合、企業によっては再発行ができない場合もあるため、誤って処分することがないよう注意が必要です。
申し込みが必要な優待は期日までに対応する
申し込みが必要な優待の場合、多くは締め切りが設定されています。
締め切りを過ぎると優待を受け取れなくなる銘柄もあるため、期限までに確実に対応しましょう。
複数の優待品を選択できる場合には、希望の優待品を選択しなければ、企業指定のものが送付される例もあります。
また、限定数が設定される優待もあるので、できるだけ早く手続きを行うのがおすすめです。
転居した場合は住所変更を届け出る
引越しなどで住所が変わった場合には、速やかに証券会社に届け出ましょう。
株式関連書類や優待は、権利確定日時点で証券会社に登録している住所・氏名宛てに発送されるので、最新の現住所が登録されていないと、受け取れなくなってしまうことがあります。
証券会社で住所変更をすれば、証券保管振替機構(ほふり)を通じて数日で株主名簿を管理する信託銀行などに共有されます。
しかし、権利確定後に住所の変更を行っても、すでに作成された株主名簿には反映されません。
郵便物は、郵便局へ転居届を出しておけば新住所に転送されますが、株主優待は郵便ではなく、宅配便で送付されるケースもあります。
宅配便には、郵便のように事前に新住所に転送できるサービスがないため、優待が新住所に送られるように事前の手配が必要です。
権利確定後に住所が変わった場合には、郵便局への転居届とともに、株主名簿を管理している信託銀行や発行会社の優待事務局などに、新住所を連絡しておきましょう。
株主優待がいつ届くかを把握して確実に受け取ろう
株主優待は、権利確定日に必要株数を保有している株主に進呈されます。
優待が届く時期は、権利確定日の2~3ヵ月後が一般的ですが、優待品やそのほかの事情によって半年以上かかることもあります。
いつ発送されるかを企業のIRなどで把握しておくと安心です。
また、株主優待の中には、申し込みが必要なものもあります。
企業から送付される株主関係書類などは、必ず内容を確認し、期限までに申し込みを済ませましょう。