株式投資はいくらから始められる？初心者向けの少額投資方法も解説

株式投資には、まとまった資金が必要と感じている方が多いかもしれません。

興味はあるものの「いきなり大きな金額はかけられない」という方もいるでしょう。

実は、株式投資は少額からでも始められます。

今回は、株式投資に必要な資金の目安や、初心者が取り組みやすい少額投資の方法について解説します。

株式投資はいくらから始められる？

株式投資に必要な資金は、さほど大きくありません。

日本株は、100株を一単元として売買します。

1株数万円の銘柄もありますが、8割を超える銘柄が1株3,000円以下であり、著名な銘柄でも1株1,000円程度ということが多いです。

そのため、株式投資は10～30万円の資金があれば始められるとされています。

なお、証券会社によっては、1株単位で株式を購入できる「単元未満株」を扱っています。

単元未満株を選べば、数千円程度の資金でも株式投資が可能です。

株式投資に必要な資金の計算方法

株式投資に必要な資金は、「株式の購入価格＋証券会社が定めた取引手数料」です。

それぞれの計算方法を解説します。

株式の購入価格

株式の購入価格は、「株価×株式数」です。

ただし、実際に注文を出す際には、注文方式が指値であるか、成行であるかによって必要な資金は変わります。

例えば、1,500円の株式を100株購入する場合、指値注文では15万円＋取引手数料があれば注文可能です。

しかし、取引の成立（約定）を優先して成行で注文する場合には、発注時点の株価から変動した価格で取引が成立することがあるため、制限値幅上限額（ストップ高）で計算した金額が必要です。

制限値幅は、前日の終値によって決まります。例えば、株価1,500円の銘柄では、制限値幅は400円です（※通常の場合）。

そのため、前日の終値が1,500円であった場合、成行注文を出すには1株1,900円の資金が必要です。100株を購入する場合19万円＋取引手数料となります。

証券会社が定めた取引手数料

株式を注文する際に必要な取引手数料は、証券会社や取引金額、取引方法によって異なります。

1回の取引金額ごと、1日の取引額に応じてなどの計算方法があり、利用者が選べる証券会社もあります。

なお、インターネットでの取引手数料は、店頭での取引に比べて安価に設定されています。

一定の要件を満たせば無料という証券会社もあるため、取引コストを少しでも抑えて利益を確保したい場合には、取引手数料にも着目してみましょう。

初心者はいくらから株式投資を始めたら良い？

投資初心者が株式投資を始める場合の投資金額については、いくつかの考え方がありますが、押さえておきたいポイントは以下の2つです。

• 余裕資金で始めるのが鉄則
• 最初は10万円程度の少額投資から

余裕資金で始めるのが鉄則

株式投資をはじめ、投資には元本の保証がありません。利益が出ることもあれば、損失を出してしまうこともあります。

そのため、投資は余裕資金で始めるのが鉄則です。

特に投資を始めたばかりのうちは、手法が定まっていなかったり、適切な投資判断ができなかったりすることがあるため、なくなっても問題がない範囲の金額に留めましょう。

最初は10万円程度の少額投資から

初心者の場合、まずは10万円程度の少額投資から始め、徐々に取引に慣れていくのがおすすめです。

取引に慣れない段階で大きな金額を投じると、値下がりしたときの精神的な負担が大きくなります。

株式以外のことが頭に入らず生活に支障が及んだり、誤った投資判断で損失を確定し、資産を減らしてしまったりするおそれもあるでしょう。

また、損失の大きさによっては、以降の投資を続けられなくなってしまいます。

10万円程度の少額投資であれば、価格変動による影響も限定されるため、リスクを抑えた運用ができます。

資金に余裕がある場合でも、まずは少額で取引に慣れ、取引手法を身に付けてから徐々に資金を増やすと良いでしょう。

少額から株式投資を始める方法5つ

少額から株式投資を始める方法には、主に以下の5つがあります。

• 株価が低い銘柄を選ぶ
• 単元未満株で取引する
• 金額指定で取引する
• 株式積立を利用する
• 外国株を取引する

株価が低い銘柄を選ぶ

投資したいと思う業界や銘柄の中から、株価が低い銘柄を選択すれば、少額からの投資が可能です。

株価が低い銘柄は赤字などの問題を抱えている場合もありますが、個人が投資がしやすい株価になるように、株式を分割した銘柄もあります。

以下は、株式分割により最低投資額が大幅に下がり、少額での投資が可能になった銘柄例です。

銘柄	分割日	分割比率	株価
日本電信電話（9432）	2023年7月1日	1:25	146円
パーソルHD（2181）	2023年10月1日	1:10	228.2円
ソフトバンク（9434）	2024年10月1日	1:10	210.6円

（※株価は2025年2月20日終値）

これらの銘柄では、1単元を保有しても数万円程度です。資金が10万円でも、複数の銘柄を保有してリスク分散を図れます。

ただし、株価の低い銘柄の中には、業績が悪いために株価が低迷している銘柄や、成長性が不透明な銘柄もあります。

株価水準だけで判断せず、経営状態や将来性などをよく見極めたうえで投資銘柄を決めましょう。

単元未満株で取引する

単元未満株とは、1単元（100株）に満たない株式です。

一部の証券会社で取扱いがあり、1～99株の取引が可能です。

単元未満株は議決権は得られませんが、配当金を受け取ることは可能です。

1銘柄購入の資金が少なく済むため、複数銘柄でリスク分散を図る投資手法も取れます。

ただし、取引のルールは、単元株の取引とは異なる点に注意が必要です。

証券会社によって異なりますが、次のような制限があります。

• 注文可能時間が限られる
• すべての銘柄が取引できるわけではない
• 指値注文ができない

加えて、単元未満株取引は、手数料が割高になる場合もあります。

少額投資では利益も小さく、やり方によっては手数料が高額になるため、中長期投資を前提とした投資に向いている手法といえるでしょう。

金額指定で取引する

証券会社によっては、金額指定で株式を購入できるサービスが提供されています。

仕組みは単元未満株と似ていますが、金額指定の場合は、1株に満たない取引も可能です。

保有株数には、0.5株のように小数点がつきます。

金額指定取引の魅力は、資金額に応じて細かく取引できることです。

金額指定なら株価に関わらず、A株に5万円、B株に3万円、C株に1万円と、資金内で分割可能です。

少額でもポートフォリオに基づく分散投資を簡単に実現できます。

また、値がさ株（株価が高い株）への投資もやりやすくなります。

例えば、キーエンス（6861）の株価は、5～7万円台を推移しています。

投資資金が10万円の場合、単元未満株では1株しか購入できませんが、金額指定購入なら1万円分や10万円分の購入ができます。

金額指定取引を利用すれば、分散投資も、1つの銘柄に効率良く投資することも可能です。

株式積立を利用する

単元未満株や金額指定取引を利用して、株式積立が行える証券会社もあります。

株式積立では、毎月一定数もしくは一定額を購入するため購入時期が分散され、一括で購入するよりも価格変動リスクを抑えられることがメリットです。

また、指定日に自動購入されるため、購入のタイミングを悩む必要がなく、少しずつ自分のペースで株式投資を進められます。

外国株を取引する

外国株には、日本株のような単元制度がなく、1株単位の取引ができます。

日本円で数万円程度から買える銘柄も多く、10万円でAppleやGoogle、Amazonなどの世界的な企業にも投資可能です。

外国株は、日本株よりも配当性向が高いことが特徴です。配当回数も年4回が一般的で、効率の良い投資を目指せます。

また、取引はドルで行うため、円に戻すタイミングによって為替差益を得られる可能性があることが魅力です。

少額から株式投資を始めるメリット

少額からの株式投資のメリットは以下の3つです。

• 損失の範囲を抑えられる
• 心理的ハードルが低い
• 分散投資を行いやすい

損失の範囲を抑えられる

株式投資を始めたばかりの頃は、手法に迷ったり、適切な投資判断ができなかったりすることもあります。

投資金額が少なければ、利益の幅は少ないものの、損失の範囲は限られたものとなります。

例えば、3,000円の株式を100株（1単元）購入し、株価が2,700円まで値下がりすれば、3万円の損失です。

しかし、10株しか購入していなければ、3,000円の損失で済みます。

心理的ハードルが低い

株式に投資してみたいと思っていても、投資の経験がない方は、数十万円のまとまった金額を投資することに対して不安に感じるでしょう。

少額から投資を始めることで、投資に対する心理的ハードルを下げられます。

たとえ損失が発生しても、少額投資であれば損失の範囲は限られるので、必要以上のストレスを避けられます。

分散投資を行いやすい

単元株の取引で分散投資を実現するには、少なくとも100万円単位の資金が必要です。

しかし、少額投資なら1銘柄あたり数百～数万円の範囲で購入できるため、少ない資金でも分散投資を行えます。

分散投資のメリットは、値動きの異なる業種や銘柄を組み合わせることで、株価の下落による資産全体への影響を抑えられることです。

また、株式への投資が少額であれば、債券や投資信託など、ほかの投資先と分散させる手法を取ることもできます。

少額投資で効率的な運用を行うコツ

少額投資は限られた資金でも取り組める反面、大きな利益を得ることは難しくなります。少額投資も効率的な運用を行うためのコツは、以下の2つです。

• 中長期を前提に運用する
• 手数料をできるだけ抑える

中長期を前提に運用する

少額投資は、得られる利益は限られるため、リスクを取った頻繁な取引には適していません。

中長期的な株価の上昇を期待するほうが、効率的な運用が可能です。

また、配当を行っている銘柄なら、長期運用で複利効果を期待できます。

手数料をできるだけ抑える

少額投資では、売買の際に発生する手数料を抑えることも重要です。

株式の取引手数料は、証券会社間で大きな差があります。少しでも手数料が安い証券会社を選択することで、手元に残る利益を増やせます。

初心者は無理のない金額から株式投資を始めよう

株式投資は一般的に10～30万円程度あれば始められますが、初心者の場合は無理のない10万円程度の少額から始めるのがおすすめです。

株式は原則100株単位で取引しますが、証券会社によっては1株単位や金額指定で数千円程度から株式を購入できます。

そのため、10万円程度の少額でも、複数の銘柄への分散投資が可能です。

少額投資であれば、損失の範囲も限られます。少額で始めて取引に慣れてから、資金を増やすことを検討すると良いでしょう。