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2024 12/6

株主優待の始め方|株式の購入から優待受け取りまでの流れを初心者向けに解説

株主優待とは、一定数以上の株式を保有する株主に対し、優待品を進呈する制度です。

魅力的な優待品も数多くあるため、株主優待をきっかけに株式投資を始めたいと考える方もいるでしょう。数万円程度の投資で取得できる株主優待も多くあります。

そこで今回は、株主優待投資の始め方や優待受け取りまでの流れを解説します。人気の優待銘柄も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

株主優待の仕組み

株主優待は、株式発行企業が株主に対して、配当金とは別に特典を提供する日本独特の制度です。

株主優待をもらうには、企業が定めた優待権利確定日に、規定株数を保有している必要があります。

そのため、株主優待は個人投資家の株式購入や長期保有を促し、株価の安定に寄与する効果があると考えられています。

株主優待は任意の制度ですが、2024年11月時点ではおよそ1500社の企業が株主優待を設けています。

株主還元の公正性やコストの問題から優待を廃止する企業もある一方、新NISA開始による個人投資家の増加を背景に、新たに株主優待を導入する流れもみられます。

株主優待でもらえるものの例

株主優待でもらえるものは、企業によってさまざまです。どのようなものが優待品に採用されているか、人気の優待銘柄を例に紹介します。

なお、企業によっては、保有株数や保有期間によって優待品や内容が異なったり、複数の優待品から選択できたりする企業もあります。

また、優待制度は変更されることがあるため、最新の情報は企業のIR情報を確認してください。

自社や自社にゆかりのある製品

自社や自社にゆかりのある製品は、自社の企業活動についての理解を深める目的で設定されることが多い優待です。食料品や日用品、化粧品などのメーカーに多く見られます。

【自社製品の優待例】

キユーピー(2809) 自社製品詰合せ(マヨネーズ、ドレッシングなど)
ライオン(4912) 自社製品詰合せ(洗剤など)
森永製菓(2201) 自社製品詰合せ(お菓子など)
マンダム(4917) 自社製品詰合せ(洗顔料、美容液など)
宝ホールディングス(2531) 自社製品詰合せ(酒類、調味料など)

また、自社にゆかりのある製品として、本社や営業エリアのある地域の企業の製品や特産品などが選定される例もあります。

【自社にゆかりのある製品の優待例】

東武住販(3297) 営業エリアにゆかりのある食品
ヤマウラ(1780) 地場産品(選択制)
北海道ガス(9534) 北海道特産・名産品(選択制)
いよぎんホールディングス(5830) 愛媛特産品または地方銀行6行の地元特産品(選択制)
トラストホールディングス(3286) 九州特産品(選択制)

自社サービスの割引券・利用券

自社店舗や通販サイトで利用できる割引券や利用券は、店舗やサービス業に多く見られる優待です。

企業にとっては、株主に実際にサービスを利用してもらうことによって自社との接点を増やせるほか、PR効果も期待できるメリットがあります。

【自社サービスの割引券・利用券の優待例】

日本マクドナルドホールディングス(2702) バーガー類、サイドメニュー、ドリンクの商品引換券
イオン(8267) オーナーズカード(利用金額からキャッシュバック)
ビックカメラ(3048) 株主買物優待券
ANAホールディングス(9202) 国内線優待券、グループ優待券
オリエンタルランド(4661) 「東京ディズニーランド」または「東京ディズニーシー」で利用できるワンデーパスポート

ギフト券・金券類

QUOカードや図書カード、クレジットカード会社が発行するギフトカード、おこめ券など、汎用性の高いギフト券や金券類がもらえる銘柄もあります。

ギフト券や金券類は、主に自社製品やサービスなどの設定が難しい業種の優待品に採用されてきましたが、利便性の高さから採用される例も増えています。

ギフト券類は優待品と比較して少額から進呈しやすいため、投資額10万円以下で優待を狙える銘柄も多くあります。株主優待を初めて取得する方にもおすすめです。

【ギフト券・金券類の優待例】

日本フェルト(3512) QUOカード
キャリアバンク(4834) 図書カード
神戸物産(3038) JCBギフトカード
キユーソー流通システム(9369) ジェフグルメカード
小林洋行(8742) おこめ券

カタログギフト

カタログギフトは、数多くの商品から自分がほしいものを選べることが魅力です。もらう時期を調整しやすいというメリットもあります。

また、保有株数や期間に応じたポイント制で、希望の商品や他社のポイントを合算できる「株主共通コイン」に交換できる「プレミアム優待倶楽部」を導入している企業もあります。

【カタログギフトの優待例】

ヒューリック(3003) グルメカタログギフト
ゆうちょ銀行(7182) オリジナルカタログギフト
平和不動産(8803) 大丸松坂屋フリーチョイスギフト
オイレス工業(6282) オイレス工業プレミアム優待倶楽部ポイント
明和地所(8869) 明和地所プレミアム優待倶楽部ポイント

各種ポイント・暗号資産など

その他には、dポイントやPayPayなどの共通ポイントや、暗号資産などの優待もあります。

優待を受け取るには、ポイントの場合は発行元の会員登録が、暗号資産の場合には指定の取引業者の口座開設が必要になりますが、使いやすさはギフト券や金券類と大きく変わらないでしょう。

【各種ポイント・暗号資産の優待例】

ソフトバンクグループ(9434)(※) PayPayポイント
日本電信電話(9432) dポイント
ウエルシアホールディングス(3141) Vポイント、WAONポイント(他優待品との選択制)
SBIグローバルアセットマネジメント(4765) 暗号資産(XRP)
セレス(3696) 暗号資産(ETHおよびZPG)

(※2026年3月の権利確定より新設)

株主優待銘柄に投資する魅力

株式投資は、企業の成長や株価の上昇を見込んで投資し、売買益や配当金を得て資産を増やすことを目的としています。

株主優待はあくまでも企業が自社に投資してくれる人に対して進呈するお礼のような意味合いのものですが、その充実度から、中には株式優待の取得を主な目的として投資をする投資家もいるほどです。

株主優待のある銘柄に投資する魅力には、次の3点が挙げられます。

配当に加えてリターンの楽しみがある

株主優待のある銘柄は、配当に加えて優待品を受け取れるので、株式保有にプラスアルファの楽しみがあります。

優待品の多くは日常生活で活用できるため、メリットを感じやすいでしょう。株主優待で生活に必要なものを賄う「株主優待生活」を送る投資家もいます。

銘柄によっては長期保有が優遇される

株式の長期保有は、株価に一喜一憂する必要がないことや複利効果が得られるなどのメリットがあります。

株主優待銘柄のなかには、一定期間以上保有を続けることが優待の条件となる銘柄や、優待品がランクアップする銘柄があるため、長期保有のメリットがより大きくなります。

株価の下支え効果が期待できる

株主優待銘柄は、優待を取得する目的で保有する投資家がいるため、一定の需要があります。

また、優待があることで、多少の業績悪化が生じても即売却せず保有を続ける株主も一定数いるため、株価の下支え効果が期待できます。

特に長期保有が優遇される銘柄は、この傾向が強いでしょう。

株主優待の始め方

これから株式投資を始める方が、株主優待をもらうまでの流れを紹介します。

証券取引口座を開設する

株式を購入し株主優待をもらうには、まず証券取引口座の開設が必要です。

証券会社の口座開設は、インターネットで行えます。連絡のつくメールアドレスと本人確認書類、マイナンバー確認書類を準備しましょう。

開設から取引開始までの一般的な流れは以下のとおりです。

1.申し込みフォームに必要事項を記入する

2.本人確認書類をアップロード、もしくは郵送する

3.審査を経て、IDなどが記載された開設完了メールや完了書類が届く

4.口座にログインし、初期設定(取引パスワードや手数料プランの選択、出金口座の登録など)を行う

5.証券口座に取引資金を入金する

オンラインで本人確認が行える場合には、最短当日~数日で口座開設が可能です。郵送の場合には、10日程度を見ておきましょう。

「権利付最終日」までに必要な株数を購入する

株主優待のある銘柄を選び、優待をもらうために必要な株数を購入します。

株式は購入後2営業日で株主に受け渡しされるため、優待を取得するには、権利確定日の2営業日前の「権利付最終日(けんりつきさいしゅうび)」の大引けまでに購入する必要があります。

権利付最終日の大引けまでに購入が済んでいれば、権利確定日に株式を保有している状態になるため、株主優待を取得できます。

なお、権利付最終日の翌日は権利落ち日です。権利落ち日に株式を売却しても、実際に株式が受け渡しされるのは権利確定日の翌日になるため、問題なく株主優待を受け取れます。

例えば、2025年3月31日(月)が権利確定日の銘柄は、土・日が非営業日になるため、権利付最終日は3月27日(木)、権利落ち日がは翌3月28日(金)になります。

【3/31(月)が権利確定日の場合】

3/26
(水)
3/27
(木)
3/28
(金)
3/29
(土)
3/30
(日)
3/31
(月)
権利付最終日
(2営業日前)
※この日までに
購入
権利落ち日
(1営業日前)
※この日から
売却可能
非営業日 非営業日 権利確定日

株主優待を受け取る

株主優待は、権利確定日から2~3ヵ月後に案内が送付されるのが一般的です。

優待品は自動的に送付される企業もあれば、株主が申込手続きを行う必要がある企業もあるので、企業からの送付物は漏れなく確認しましょう。

株主優待を始めるのにおすすめの証券会社

株主優待がもらえる条件は、権利確定日に必要株数を保有していることであり、どの証券会社で株式を購入しても変わりません。

しかし、証券会社によって、取引手数料や取引のしやすさ、情報検索のしやすさには差があります。これから株主優待を始めたい方に、おすすめの証券会社を3社紹介します。

楽天証券

楽天証券は手数料が業界最低水準で、手数料コースでゼロコースを選択した場合、国内株式の取引手数料は無料です。

また、取引画面やツールが操作しやすく、初心者向けのセミナーやコンテンツなどが充実していることも、初心者に向いているといえるでしょう。

1株単位で取引できる「かぶミニ」や、少額から積立ができる「かぶツミ」などのサービスもあり、少額から株式を増やしていき株主優待を狙えるのも魅力です。

SBI証券

SBI証券は、国内最大規模の口座数を誇るネット証券会社で、以下の条件を満たせば国内株式の取引手数料が無料になります。

  • インターネットコースのインターネット取引
  • 各種交付書面を電子交付で受け取り

また、国内株式のほかにも取扱商品が多く、初心者から上級者まで満足できるラインナップが揃っているので、取引に慣れてきても引き続き使いやすいでしょう。

SBI証券も1株からの取引「S株」や現物株式の積立購入が可能で、少額から株主優待の取得を目指せます。

松井証券

松井証券は、日本で初めて個人投資家向けに株式のインターネット取引を導入した証券会社です。

初心者向けのサポートが手厚く、専門オペレーターへの電話相談や無料の動画コンテンツなどが用意されています。

動画コンテンツでは優待の情報も頻繁に発信されており、これから株主優待を始めたい方も、スムーズに情報収集ができるでしょう。

国内株式の取引手数料は1日50万円まで手数料無料(NISA口座の場合、および25歳以下は完全無料)です。

株主優待銘柄の選び方

株主優待のある銘柄は数多くあるため、ひとつひとつの銘柄を確認して投資先を選ぶのは現実的ではありません。

証券会社が提供する優待検索ツールを利用したり、投資関連のコンテンツを参考にしたりするのが一般的でしょう。

その中から自分に最適な優待銘柄を選ぶには、以下のポイントに着目してみるのが有効です。

応援している企業から選ぶ

株主優待を目的として投資をする場合、中長期的に株式を保有することになります。

そのため、製品やサービスを愛用しているなど、応援できる企業が適しています。株主優待をもらいながら、企業の成長を楽しめるでしょう。

日常生活で使いやすい優待を選ぶ

せっかく高価な株主優待がもらえても、自分が活用できないものなら意味がありません。

特に、サービスの利用券や割引券は、内容によってもらっても使う機会がないケースもあるでしょう。

優待銘柄を選ぶ際は、日常生活で使いやすい優待であるかを確認することが大切です。

優待品の場合は使い道のあるものか、サービスの利用券や割引券の場合は、利用できる店舗などが近隣にあるか、利用に制限がないかなどを調べてみましょう。

優待利回りと配当利回りを考慮して選ぶ

優待銘柄への投資は、株主優待と配当金の両方が狙えます。

優待利回りと配当利回りの合計である総合利回りに着目すると、よりお得な銘柄を見つけられます。

また、配当利回りの高い銘柄は、業績の安定が期待できます。

長期保有している間に大きく値下がりするリスクは、配当のない企業に比べて抑えられるでしょう。

優待銘柄へ投資する際の注意点

株主優待をもらえることは株式投資の魅力ではありますが、企業の業績や成長性なども考慮して投資する必要があります。

また、優待銘柄特有の注意点もあるので、確認しておきましょう。

権利落ち日に値下がりしやすい

優待銘柄は、権利日が近づくにつれ株主優待目的で取得する人が増え、権利日までに値上がりする傾向が見られます。

一方、優待を取得したあとは保有を続けず売却する投資家もいるため、権利落ち日に大きく値下がりするリスクがあります。

優待銘柄にはこのような特性が見られることもあるので、取得した株式が権利付最終日までに値上がりした場合、売却して利益を確定することも一手です。

優待廃止のリスクがある

株主優待があることは、優待取得の需要があるため、株価の下支えになります。

そのため、優待が改悪されたり廃止されたりすると、優待を魅力に感じて保有していた投資家が売却し、株価が大きく値下がりする可能性があります。

特に、優待廃止の理由が業績悪化によるものの場合、株価の再上昇はなかなか期待できません。損切りをするか、そのまま持ち続けるかを迫られることになります。

お得に株主優待投資を行うには

株主優待銘柄への投資をお得に行うには、税制優遇のあるNISA口座を活用する方法や、価格下落リスクを軽減できるつなぎ売り(クロス取引)を利用する方法があります。

NISA口座を活用する

NISAとは、口座内での取引で得られた売却益や配当が非課税になる、税制優遇制度です。

株主優待自体は雑所得のため、NISA口座で取引しても人によっては所得の申告が必要になる場合があり、課税の対象となります。

しかし配当金については、NISA口座で取引し、証券会社の口座を通して受け取れば非課税です。

例えば、年間5万円の配当がある場合、課税口座では20.315%の1万157円が源泉徴収されます。一方、NISA口座で配当金が非課税にできれば、5万円がそのまま手元に残ります。

ただし、NISA口座において株式投資ができるのは成長投資枠内で、年間の非課税投資額には240万円の上限があります。

NISA口座で取引する際は、非課税メリットを最大限に活かすため、配当利回りの高い銘柄を優先すると良いでしょう。

つなぎ売り(クロス取引)を活用する

つなぎ売り(クロス取引)とは、1つの銘柄に対して現物取引の買いと信用取引の売りの両方を行う手法です。

株価が下落して現物がマイナスになっても、信用売りがプラスになるので、下落分が相殺されます。

現物の買いと信用の売りを同価格で約定させて権利付最終日を超え、権利落ち日に保有株式を使って決済(現渡)すれば、株価変動の影響は受けません。

信用取引の売りには、貸株料(証券会社から株式を借りる費用)や逆日歩(証券会社が市場から株式を調達する費用)などのコストがかかります。

つなぎ売りができるのは対象銘柄に限られ、銘柄や取引タイミングによってはコストが大きくなってしまうこともありますが、上手に活用することで、権利落ち後の損失リスクを抑えられます。

株主優待の始め方は簡単

株主優待制度のある銘柄は、株主の権利が得られる権利付最終日までに規定の株式を購入すれば、優待品がもらえます。

長期保有で優遇される銘柄もあるため、じっくりと投資に取り組みたい方にも向いています。

優待銘柄は、権利落ち日以降に株価が下落しやすいことや優待が廃止されるリスクに注意しなければなりませんが、優待品がもらえるのも投資の楽しみの一つです。

株式を購入するために必要な証券取引口座は簡単に開設できます。また、少額からでも始められるので、ぜひ挑戦してみましょう。

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